小ねじの製造方法
ねじの製造方法には、大きく分けて2種類あります。
一つは、金属の丸棒から削って製造する方法。もう一つは金型を使用して圧造する方法です。
規格品の量産ねじのほとんどは圧造して製造しています。
圧造する際にコイル状の素材を常温のまま金型で叩き、ねじの頭部を成型します。
これを"冷間圧造"と言います。大きい径のボルト等は常温では圧造出来ないため、高温に加熱して素材を柔らかくしてから圧造します。
これを"熱間鍛造"と言います。ここでは小ねじ類の冷間圧造に関してご紹介します。
冷間圧造のメリット
- 切削加工は太い材料から削り出しでねじを加工するため、切粉が発生しますが、冷間圧造は切粉が発生せず、材料のロスがありません。
- 冷間圧造は素材を金型で叩いて成型するため、素材が塑性変形し、強度が上がります。
- 金型を使用するため、量産時の製品のバラつきが少なく、均一な精度で大量生産が可能です。
- 切削加工と比べて加工タイムが圧倒的に早く、単価が安い。
冷間圧造のデメリット
- 金型を要するため、立ち上げ時に初期費用と納期が掛かる。
- コイル材を使用して量産する加工方法のため、小ロットには不向きである。
- 切削加工と比べて精密な加工精度に対応するのが難しい。
- 複雑な形状の対応が困難で、機械により加工範囲が制限される。
冷間圧造ねじの製造工程
大まかに小ねじは3工程で製造されています。
伸線
ヘッダー
(冷間圧造)
(冷間圧造)
転造
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- 第1工程伸線
- コイル状の材料を伸線して真っ直ぐに伸ばします。
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- 第2工程ヘッダー
- 冷間圧造でねじの頭部を成型します。
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- 第3工程転造
- 冷間圧造で成型したブランクに転造加工でねじ切りをします。